私は10年以上、派遣社員として同じ会社で働いていました。当初は3年契約でしたが、その後は更新を重ね、気が付けば5年、10年と経ち、無期転換申込権が発生するまでになりました。
会社での中心的な業務を担い、周囲からの信頼も厚かった私は、無期転換を希望し、書面で申し出ました。しかし、数ヶ月後、会社から衝撃的な通告を受けました。
「業務内容の変更に伴い、あなたの契約を終了します。」
突然の契約終了の理由は、業務内容の変更。しかし、変更される業務内容は、私がこれまで行ってきた業務とほぼ同じ内容でした。さらに、会社は新しい派遣社員を募集し始めたのです。
これは明らかに、無期転換を阻止するための嫌がらせだと感じました。会社は、無期転換を拒否するために、無理やり業務内容を変更したのです。
私は、会社に説明を求めましたが、「会社都合による契約終了」の一点張り。労働組合に相談しましたが、会社との交渉は難航し、解決の糸口は見つかりませんでした。
絶望感と怒りに打ちひしがれましたが、諦めずに、行政機関や弁護士に相談し、情報収集を続けました。そして、会社が労働基準法に違反している可能性があることを発見しました。
「同一労働同一賃金」
派遣社員と正社員が同じ仕事をしている場合、給与や待遇も同等であるべきという法律です。私の場合は、正社員よりも給与が低く、福利厚生も充実していませんでした。
この事実を元に、私は会社に再度説明を求め、労働基準監督署に相談しました。監督署の指導により、会社はようやく私に正社員と同等の給与と待遇を与えることを約束しました。
しかし、契約終了は覆らず、私は会社を去らなければならなくなりました。
希望していた無期転換は叶わず、キャリアも断ち切られた。会社による理不尽な対応は、私の心に深い傷跡を残しました。
(投稿された体験談より)
しかし、無機転換が実現したとして、さらに弱い立場に追いやられるかも知れないんです。
どういうことなんでしょうか。
2018年春、派遣社員の立場を守るための改正労働法という法律がスタートします。
この法律で、派遣社員の立場が改善されるはずでした。
でも、実際には労働局に苦情というか相談が殺到しているのだとか。
どういうことなんでしょうか?
法律の言い回しが難しいので、わかりやすくしてみました。
5年以上、同じ派遣先で働いてたら…
「無期転換したいっす」
と言えば、企業が無期限に契約してくれる法律。
1年ごとに契約打ち切りに怯えなくていいんじゃん。
素晴らしいじゃん。
だけど、そう簡単にはいかないのでした。
企業にとって派遣社員のメリットとは?
業績が悪くなったら、1年ごとに自由に解雇できる。
そのメリットがなくなるのが、無期転換です。
一部の企業は、あの手この手で、無期転換をやめさせようとしてきます。
一番ポピュラーなのがこれ。
無期転換の権利発生前に、契約を打ち切ってくるんです。
これ「雇い止」(やといどめ)と言われて、法律で禁止されています。
でも現状…
「契約打ち切るけど、決して無期転換の阻止のためじゃないよ」
という言い訳が、まかり通ってるんですね。
ひどい話です。神も仏もないものか!
だけど世の中の企業が全部、無期転換逃れをしてるわけじゃありません。
有期契約労働者の無期転換サイト(厚生労働省)に、以下の企業が掲載されていました。
実際、企業として無期転換を無条件に受け入れると困ったことになるようです。
正社員からしたら、「あいつら、優遇されすぎじゃん!」ってことになるんですね。
だけど、就業規則で取り決めをすれば、条件をつけられるんです。
実際には、個人ごとに雇用契約書の内容に、就業規則に従う旨を盛り込むようです。
各社工夫をしていますが、妥当な案としては…
正社員と区別した「準社員」という役職を作って、条件をつける
というのがありました。
「会社がこんなことしてくるんだけど、合法なの?」
って迷うときは、厚生労働省の相談ダイヤルに相談できます。
正直、企業がどうにでもごまかせそうな雰囲気です。
この先、どうなるのかはわかりません。
また、2018年9月には、2015年9月の改正派遣法で決まったルールが効いてきます。
「派遣社員が、同じ組織で働けるのは3年まで」
「だけど、無期転換したら3年縛りはナシにするよ」
というもの。
9月前に、大量の契約打ち切りが出てくるかも知れません。
派遣をやめて、どうにか正社員の道を探すかたも少なくないようです。
こちら、私が初転職の時に悩みまくったことをまとめています。
就職活動しておくか…というあなたは、ご参考にどうぞ。