20xx年、東京大学大学院情報理工学系研究科に通うAIエンジニアの佐藤 健太は、修士論文のテーマである医療画像診断システムの開発に没頭していた。 彼は、深層学習モデルを用いて、CT画像から肺がんを早期発見するシステムの開発に取り組んでいた。
健太は、大学入学当初から人工知能に魅了され、特に画像認識分野の研究に力を入れてきた。大学3年時には、画像認識コンテストで優勝するなど、将来を嘱望される若手AIエンジニアだった。
修士論文のテーマとして医療画像診断システムを選んだ理由は、自身の祖母が肺がんで亡くなった経験があった。早期発見が重要であることを誰よりも理解していた健太は、AIの力で少しでも多くの命を救いたいという強い思いを抱いていた。
健太は、論文執筆と並行して、医療画像診断システムの開発に日々取り組んでいた。膨大な量のCT画像と臨床データを収集し、深層学習モデルの訓練に費やした時間は数百時間に及んだ。
そして、数ヶ月間の努力の末、ついに完成した医療画像診断システムは、驚くべき精度で肺がんを検出することに成功した。健太は、自信と希望に満ち溢れ、学会発表に向けて準備を進めていた。
しかし、学会発表当日のプレゼンテーション中、予期せぬ事態が発生した。テストデータでは完璧な精度を発揮していたシステムが、実際に患者さんに使用してみると、誤診を連発してしまったのだ。
健太は、目の前の光景を信じることができなかった。これまで積み重ねてきた努力が全て否定されたような絶望感に襲われた。
原因を分析した結果、健太は深層学習モデルに潜む罠に気づいた。 モデルは、訓練データに含まれていたノイズを学習してしまい、それが肺がんの特徴であると誤認識していたのだ。
健太は、この失敗から大きな教訓を得た。AIは万能ではないこと、そして、常にデータの品質とモデルの信頼性を検証する重要性を痛感した。
この経験を糧に、健太はAIエンジニアとしてのキャリアを歩み続け、より安全で信頼性の高いAI技術の開発に貢献することを決意した。
…と、将来はこんな感じのAIエンジニアの仕事が出てくるかも…。
AI(人工知能)はさまざまな業種に応用が可能な技術です。
2015年時点で3.7兆円だった市場は、2030年には約23倍に拡大して、89兆円の大市場になると予想されています。
しかもこれ、国内だけでこの規模というのが驚き。
もともとITエンジニアは慢性的に不足していますが、中でもAI市場にかかわるデータサイエンティストやAIプログラマーは大きな需要に対して圧倒的に不足しています。
当然、年収を上げて魅力的な募集をかけないと、人材が集められないということになります。
AIエンジニアの年収はいくらぐらいで、仕事内容はどんな感じなのかを、具体例を交えてまとめてみました。
今まで「人間にしかできない」とされていた仕事を、自動化できるのがポイント。
ドラゴンボールのスカウターを例にすると、こんな位置づけ。
ビッグデータから学習して、未知の答え(この場合だと相手の戦闘力)を出すのがAIです。
人間がルールを決めなくてもAIが学習して判断を下すことができる仕組みなんですね。
「SFかよ」
なんて当初は言われていましたが、今では夢物語ではなくなってきています。
ロジックを人間が考えるのではなく、ビッグデータ生成したモデルに、機械学習を繰り返してコンピュータに問題を判断させます。
機械の脳みそを調教するようなイメージでしょうか。
今までは「人間じゃないとムリ」と言われていた業務をAIに任せられるようになります。
スパムメールの対策、ネットワークからの攻撃遮断など、「いたちごっこ」と言われていたような攻撃者との攻防も、AIが自動対処できるんですね。
企業からすると、人件費を画期的に削減できるうえ、人間にはできないレベルのきめ細かいサービスを提供できるので、他社との差別化にもつながるというわけ。
まー、便利そうだけど、企業はどれくらいお金をかけてるんでしょう?日本経済新聞に、2017年のAI分野への投資(研究開発費)ランキングが載っていました。
企業名 | 2017年の投資額(億ドル) | 10年前との対比 |
---|---|---|
1.amazon | 226.2 | 28倍 |
2.アルファベット(グーグル) | 166.2 | 8倍 |
3.サムスン電子 | 131.8 | 4倍 |
4.インテル | 131.4 | 2倍 |
5.フォルクスワーゲン | 131.0 | 3倍 |
6.マイクロソフト | 122.9 | 73%増 |
7.アップル | 115.8 | 15倍 |
8.ロシュ | 105.5 | 53%増 |
9.ジョンソン&ジョンソン | 103.8 | 35%増 |
10.トヨタ | 95.8 | 25%増 |
例えば、1位のamazonは226.2億ドル(約2兆円5千億円)です。
実際、どういうジャンルに使われているんでしょう?
調べてみました。
実用に入ってきているものもあれば、実験段階のものもあり、まだまだ発展途上と言えるでしょう。
AI開発のSEには、ソフトウェア系、ハードウェア系、インフラ系などなどあります。
リサーチャーやデータサイエンティスト(研究職)には、高度に専門的なAIの知識が求められます。
Kaggle(カグル)という、機械学習のコンテストを行うサイトがあります。世界中のデータサイエンティストが、コンペと呼ばれる課題に自作モデルで分析・解決を行って、スコアを競い合っています。ゲームみたいに。
たとえば、DeNAなどは、Kaggleの上位ランカーに「業務中にKaggleのコンペ参加に100%時間を使っていい」という、ありえない好条件をつけて採用を行っているのだとか。
エンジニアに求められるのは開発等の経験。
中でも、プログラム言語Pythonの開発経験は、必須と言えるでしょう。
グーグルが公開しているライブラリTensorFlow(テンサーフロー)、自然言語などを効率よく学習するモデルWord2Vec(ワードトゥベク)、フェイスブックが公開した高速モデル学習が可能なツールfasttextなどなど、いずれもPythonから操作できます。
研究者の論文をもとに、モデルに対して分析・課題解決の仕組みを実装するのがエンジニアの役割と言えそうです。
具体的には、どういうスキルが求められているんでしょうか?
例えば、AI系ベンチャー「プリファードネットワーク」のソフトウェアエンジニアの募集要項によると…
・1つ以上の汎用プログラミング言語における5年以上の使用経験(C++、 Ruby、Python、Scala、Javaなど)
・継続的インテグレーション/デリバリーにおける3年以上の経験
・Dockerの使用経験
・Ansible、Chef、Puppetのような構成管理ツールの使用経験
意外にも、一般の開発と同じような募集要項。
AI分野では、開発経験のあるエンジニアが圧倒的に不足しているようです。
私が過去かかわった開発案件でも、Pythonを使った開発はほとんどありませんでした。
「そんなマニアックな言語で開発とか、オタクじゃあるまいし」なんていう意見も出ていましたね。
しかし、AI分野では、Pythonが必須というほど注目されています。
独学でPythonを学ぶのは厳しい…というあなたは、動画で学べる学習コースなどもあります。
合計5.5時間でPythonを使ったAI開発の基礎が学べます。価格もお手頃。
サンプルコードに少しづつ修正を加えて、実行結果を確認するスタイルです。なので、手元の開発環境で試しながら進めていけるのがポイント。動画はWindows前提で作られているので、ノートパソコンなどでも学習が可能です。
今見たら割引で、専門書一冊分くらいの価格に下がっていました。
みんなのAI講座 ゼロからPythonで学ぶ人工知能と機械学習 ほか
ほかにも、TensorFlow、OpenAIGym、OpenCV(画像認識)などのコースもあり。
AIという技術自体が新しいこともあって、国内ベンチャーが注目されています。
資金力のある大手と業務提携という形が多いようですね。
注目の国内ベンチャーの、採用情報と年収をまとめてみました。
旧カラフルボード。感性をAIで学習するプロダクトを、一般ユーザー向け、ビジネス向けに企画・開発・運用している会社。
アパレルのTSIホールディングスと業務提携を結んでいます。(グループ会社に女性ブランド・ジルスチュアートを展開している会社があります。)
採用情報 SENSY株式会社(旧社名:カラフル・ボード株式会社)
AIリサーチャー(研究職)、ソフトウェアエンジニア、UX/UIデザイナーなどを募集中。
年収は公開されていません。
PFNとも略される会社。AIとIoTを融合。特に製造業では存在感あり。
DeNAと提携して、合弁会社を立ち上げ、真相機械学習分野でちゃくちゃくと実績を積んでいます。
線画を自動着色するおもしろサービス。PaintsChainerで文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞を受賞。
トヨタ自動車から10億ドルの出資を受けています。2018年にはファナック、日立とプリファードネットワークスで合弁会社の設立に合意。
Careers - 株式会社Preferred Networks
雑誌東洋経済で、CEOの長谷川氏が語っていた内容によると、AI分野で「新卒で年収は最低2,000万円」とのこと。
機械学習、分散深層学習、ロボティクスなどのリサーチャー(研究職)、ソフト、ハード、インフラ、言語認識、画像認識、ARなどのエンジニアを募集。
実際の年収は公表していません。
アーム型ロボットを制御する、ロボットコントローラを開発・販売している会社。
エンジニアを募集しています。
書類審査後、オンライン面接→リモートテスト→オンサイトテスト→年収提示→正式書類にサインという流れ。
年収は公開されていません。
年棒制です。
それぞれ、独自ブランドの「和製AI」の開発をおこなっています。
「AI」とジャンルを絞っての募集はしていないようです。
AI関連の仕事は、どの会社も年収を公開していませんでした。
「本人の経験、スキルによって決める」というものがほとんど。
人によって、年収差がありすぎるため、公表していないのだと思います。
採用応募して、書類選考・面談に合格して初めて年収のオファーが来るんですね。
いやいや、最初にザックリとでも年収を知っておきたい…という場合は、あなたの転職エージェントに聞いてみて下さい。
AI業界は魅力的だけど、転職はじめてで不安すぎる…
新しい業界過ぎて、ポテンシャルは高いけど、年収さえ決まってないんですよね。
ネットを調べても具体的な情報は出てきませんし、採用試験を受けてから年収聞いて「やめます」とも言いづらい。
転職後の年収把握してから決めたい、というあなたは転職エージェントなどを利用しましょう。
こちら、私が転職エージェントを使って転職するまでの流れをまとめてみました。
よろしければ、ご参考になさってください。